この論文は、高効率のフレキシブルディスプレイに不可欠な、サブ波長スケール(<250 nm)のAgClナノ構造をフレキシブルプラスチックフィルム上に作成する新しい方法を紹介します。AgコーティングされたプラスチックフィルムにCl2プラズマ処理を施すことで、Ag原子とClラジカルの反応によりAgClナノ構造が形成されました。この反応によりAgClの体積が膨張し、2Dの平坦なAg表面から3Dのサブ波長スケールのAgClナノ構造へと表面形態が大きく変化します。プラスチックフィルム上のAgClの光学特性は顕著に向上し、透過率が89.6%から93.4%に上昇し、平均ヘイズは0.3%以下に保たれました。その結果、これらのナノ構造に基づくOLEDは、発光効率(1000 cd m−2で88.6 cd A−1)が向上し、元のPIフィルム(80.0 cd A−1)よりも10.7%の改善を示しました。ナノ構造は電磁波の透過を強化し、散乱を抑制することも、有限差分時間領域シミュレーションおよび厳密結合波解析によって確認されました。-論文カバーピクチャーの制作はサピエンスが担当しました。
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2018/nr/c8nr00998h#!divAbstract